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2013.09.29 Sunday
人それぞれ読後の感想は異なると思うが、私の場合、青春期に親友と恋人が自ら命を絶ってしまった主人公が、「死は生の対極にあるのではなく、我々の生のうちに潜んでいるのだ」と気付くところにこの作品の主題があるように感じた。
物語は1969年から70年という設定で、主人公の学生時代の回想というスタイルで描かれている。あくまでも物語、と言ってしまえばそれまでだが、主人公は私の経験とはまったくかけ離れた学生生活を送っている。東京で暮らす多くの大学生がこの主人公のような学生生活を送っていたのだとすれば、私の学生時代は限りなく無為無策なものであり、そして何もかもが中途半端であり、漠然とそんな日々を過ごしていた自分の学生時代が悔やまれる。
それにしても、主人公を取り巻く人物のキャラクター、そしてありそうでない場面展開とそれらの描写はさすが村上春樹だ。またこの作品は文章が比較的平易なので最後まで一気に読むことができた。
- 新宿ゴールデン街
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2013.06.29 Saturday
浅田次郎さんの短編小説『角筈にて』を読む。映画化もされた小説だが、そのヒューマンドラマ的なストーリーはさておき、舞台として登場した「新宿ゴールデン街」に懐かしい響きを覚えた。
東京で学習塾の講師をやっていた頃、塾の帰りによくこの街を歩いた。私が行く店は上品な和装の女将が一人でカウンターの中にいるバーで、いつも角瓶の水割りを注文した。居酒屋で1次会をしたあと流れてくるようなお客は皆無で、いつも静かな雰囲気でお酒が飲めた。
千葉に引っ越したあとはゴールデン街に通うこともなくなったが、後年再び訪れてみると、バブル期の地上げで街の様相が変わっており、その店も閉じられていた。それ以来、ゴールデン街に行ったことはない。
しかし、今ネットで調べてみると、ゴールデン街にかつての賑わいが戻ってきているようだ。かつての客が店のオーナーになっているケースもあるという。上京して時間がある時、一度行ってみようと思う。レトロな店で酒を飲んでノスタルジーに浸るのも悪くない。
- 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年