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ユースホステルの思い出

若い方はご存じないかもしれないが、1970年代の朝日放送のバラエティ番組に「プロポーズ大作戦」という1時間番組があった。番組は2部構成で、前半部分は旅先などで会った人ともう一度会いたいという視聴者の願いを、桂きん枝扮するキューピットが見つけ出して対面させるというもので、横山やすしの「神の御前にて身を委ねたる、〇〇殿の願いを叶えたまえ〜」と念じた後に、西川きよしの「さあ、どうでしょう」というセリフとともに、会いたかった人がステージ横のの特設カーテンから登場するという構成だった。
そして番組の後半部分(番組スタート時は前半部分のみの30分放送だった)は、フィーリングカップル5対5という男子大学生と女子大生の集団お見合いみたいな内容だった。

さて前半部分の人探しのエピソードの中で多かったのが、旅先のユースホステルで出会った素敵な彼(彼女)にもう一度会いたいというものだった。

前置きが長くなったが、70年代、旅する若者の宿泊先と言えばユースホステルが定番だった。だが私はこのユースホステルというものが苦手だった。
高校・大学を通じて何度も友人らとともにユースに宿泊したが、当時は宿泊者同士でミーティングと称するものが行われ、各自の自己紹介に続いてゲームやトークが行われ、みんなでフォークソングを歌うこともしばしばだった。(ギターを持っている男が必ずいた)
そのミーティングの中で日本各地でいろんな出会いが生まれたのだろうと思うが、私はユースで行われていたミーティングにどうしても馴染めなかった。

だいたい旅先において私がどこの誰であろうとそこに居合わせた人には関係がなく、やりたくもないゲームや歌など大きなお世話だった。部屋に隠れていた時もあったが、たいてい発見されミーティングに引っ張り出された。

しかし50歳を過ぎた今、あれはあれで結構おもしろかったんじゃないかと思うようになった。携帯電話もパソコンもインターネットもない時代、ユースのミーティングこそが旅先での娯楽であり情報交換の場だったと思う。
もっと積極的にミーティングに参加していれば、私にも素敵な出会いがあったかもしれない、などと考えてしまうが、そういうことを感じること自体、年をとった証拠なのかもしれない。

ちなみに現代のユースホステルはミーティングがなく、飲酒も自由で個室に泊まれるユースも増えているという。ギターを持った男も今はもういないと思う。さんざんミーティングを嫌っていた私が言うのもなんだが、ちょっとさびしい気もする。

author:辻ひとし, category:エッセイ, 22:07
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