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名残の雪
夕方、14日に急逝した嶺北消防組合消防士の稲田哲典君のお通夜に参列する。2月も後半だというのに吹雪いていた。

稲田君とは三国南小学校から三国高校までの同級生であり、子どもの時から今日までお互いに腹を割って話すことができる仲だった。中学生時代は二人で公害問題に取り組み大人ばかりの集会に参加したり、高校受験では苦手分野の科目を克服するために一緒に勉強もした。
彼は弁舌がたち、中学生時代からいつも目立つ存在であり、10代の私は彼から計り知れない影響を受け、今もそれを引き継いでいる。

私が千葉市の会社の寮に住んでいた時に、一度だけ福井から遊びに来てくれたことがあった。彼が上京してきた目的が出張だったのか遊びだったのかは記憶にないが、わざわざ千葉まで訪ねてきてくれたのがうれしかった。その日は日付が変わるまで二人で痛飲した。

今月の5日に三国観光ホテルで行われた三国地区区長会の懇親会で彼と久しぶりに話をさせていただいた。今年から地区の区長会の代表になってしまい大変だと話していたが、一方で勤めている嶺北消防組合を3月いっぱいで早期退職するとも話していた。その時は体調が悪いという印象はなく、それが原因での早期退職ではなかったと思う。「またゆっくりやろう」と言ってその場を離れたのが彼との最後となった。

その風貌から、豪放磊落で型破り的なイメージがあるが、実際には彼は何事にも慎重で一つ一つ積み上げていくタイプだったと思う。彼が消防組合を退職し、いわば「自由の身」になったら、きっと私たちを巻き込んだ何かを始めただろうと思う。それが町おこしにせよ農業にせよ、世間の物差しでは測れないようなことを考えてくれたと思う。そしてそれはきっと、退屈する私たちの日常をそうでない日常にしてくれるものに違いない。そう考えると、稲田君との早すぎる別れが残念でならない。

さようなら稲田君。あなたと同じ時代に生まれ、同じ空間で過ごせたことを私は誇りに思います。
author:辻ひとし, category:惜別, 20:57
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