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地域医療政策セミナー

 

午後1時から千代田区の都市センターホテルで開催された全国自治体病院経営都市議会協議会主催の第14回地域医療政策政策セミナーに参加する。

 

セミナーは2部構成で、第1部は『崖っぷち自治体病院〜北の大地で経営改革を目指して〜』という表題で、北海道士別市の士別市病院事業管理者で院長の長嶋仁氏が講演を行った。

士別市は人口減少や高齢化、空き家の増加という典型的な地方都市で、士別市民病院も自治体病院として地域医療を担ってきたものの、毎年一般会計から10億円以上の繰り入れを行っていたらしく、民間企業なら倒産、まさに「崖っぷち」という状況だったようである。

そこで院長となった長島氏は、公的病院として地域医療を守る責務を果たすため病院経営の改革に乗り出す。具体的には、急性期医療中心の医療から慢性期医療中心の医療に大きく舵を切った。このことで療養病棟による長期入院患者の受け入れがしやすくなり、近隣の名寄・旭川地区からの転入入院患者数が大幅に増加する。同時に、直線距離で19kmしか離れていない名寄市立総合病院との医療連携強化を行うことにより、急性期医療減少による市民負担を軽減した。

これら一連の改革によって、平成29年度は追加繰り入れがゼロになり、30年度予算では繰入額が9億円以下になったとのことだった。

改革のポイントとして長島氏は、首長と病院事業者・院長との信頼関係が最重要であり、病院に対する士別市長の理解がなければ経営改善は達成できなかったと振り返っていた。

坂井市において、市立三国病院は公的病院として地域医療を守る重大な責務があり、今後の医療需要や介護需要の予測を見極めたうえで、高齢化社会を支える医療の提供を行っていかなければならないことを痛感した。

 

続いて第2部は、(株)シルバーウッド代表取締役の下河原忠道氏が『看取り率76%新たな看取りの場として機能するサービス付き高齢者向け住宅「銀木犀」の挑戦』という表題で講演を行った。

銀木犀は千葉県を中心にシルバーウッドが運営するサービス付き高齢者向き住宅で、駄菓子屋やワンコインでランチができる食堂など、地域の人々が気軽に集まり入居している高齢者と接する機会をつくることで、多様なつながりの生まれる場となっている。

施設内で映画やコンサート、ダンス教室など様々なイベントを展開することによって、地域の人々が施設に興味を持ってくれるようになり、現在では銀木犀の祭りが地域の祭りとなっているとのことで、高齢者の施設が地域の社会資源となっている感じだ。

銀木犀には馴染みの場所で生活者のまま老衰死を向かえるという基本方針がある。下河原氏は、しっかりとした運営方針を持った「やる気度」の高い施設ほど入所者の看取り率が高いとした上で、看取りを経験した介護士は、その経験によってスキルアップを図ることができると話していた。

下河原氏の次の目標は地域に根差した就労支援施設の展開とのことで、レストランと福祉施設をマッチングさせた事業を計画しているとのこと。今後の下河原氏の活躍に期待したい。

author:辻ひとし, category:研修, 22:05
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