- 履修不足問題
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2006.10.31 Tuesday自殺者まで出てしまった高校の必修科目履修漏れだが、「対象者」となる生徒が、私立校で15%、公立校で7%となると最早これは“一部の生徒の問題”ではない。当初は毅然と対応するとしていた伊吹文科相も、膨大な数を前に「既卒者は不問」「現役生には救済措置」と言わざるを得なかった。
生徒にしてみれば自分たちがルール違反を犯しているという意識はないだろう。それどころか、規則破りを承知で必修科目を履修させなかった学校側にも罪の意識はなかったのではないか。
結局は大学受験を優先して自分たちの学校の“得点”をあげようとする高校と、「大学全入」の時代を向かえ、受験生を獲得するため試験科目を極端に減らす大学、それに乗じる受験生の三者の「思惑」が合致した結果が「必修逃れ」につながったのである。
世界史を学ばずして国際人になれるわけがない。例えば、パレスチナ問題。世界史をひも解けばこの問題の原因はおよそ2000年前の紀元66年・第1次ユダヤ戦争までさかのぼらなければならない。世界史を学ばずに現代は語れないのである。
森田こういちの歌じゃあるまいし、「卒業までの半年で答を出せと」言われても冬休みや春休みの補習では限界がある。ある程度の救済措置は必要だろう。しかし履修を免れた生徒が得したと思うような解決策ではいけないと思う。ルールどおり履修した生徒への配慮も必要だ。
今回の問題は、必修科目の在り方や大学入試、文科省の指導要領の妥当性に至るまで高校教育を幅広く議論し、受験偏重と言われる日本の教育を正常化する良い機会だと思う。折りしも、首相の諮問機関である教育再生会議もこの問題を取り上げる方針だと聞いている。安倍首相は教育基本法の改悪を急ごうとしているがとんでもないことだ。この際、教育再生会議の議論や教育現場、国民の声にじっくり耳を傾け、時間をかけて考えていく必要があると考える。
- 教育改革
- 交通関連施設
- おきなわ自治研3日目
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2006.10.28 Saturday昨日に引き続き福祉・社会保障の分科会に参加する。地域の子育て支援のパネルディスカッションの中で、沖縄市で不登校生徒の居場所づくりを支援する施設「ホップステップクラブ」の東條渥子代表は、「学校に行きたくない子どもたちが学校で相談を受けることなどできるわけがありません、また家庭でも自己嫌悪におちいって家の中に居づらいものなんです」と言った上で、そういった子どもたちの居場所づくりの必要性を強調しておられた。
東條さんのお話で特に印象深かったのは、学校に行かないと親も子どもも「一切の行政サービスから外されてしまう」という言葉だ。確かに不登校の子どもには給食サービスもなければ補習授業もない。学校に行けない子どもたちへの就学支援のあり方について考えさせられる言葉だった。
午前中で分科会は終了。同じ分科会でご一緒した自治労県本部の岩佐さんや大野市職の畑中さん、前武生市議の伊藤さんと那覇空港で昼食。沖縄滞在4日目にして空港から初めて「青い海」を見た。そうだ!私はコーラルアイランドに来ていたのだ、せっかく沖縄に来たのにどこも観光地に行っていないじゃないか!と気づいた時には私の乗った飛行機はすでに那覇空港を離陸していた。
- おきなわ自治研2日目
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2006.10.27 Friday
今日から分科会。私は「福祉・社会保障」をテーマとする分科会に参加させていただいた。加藤彰彦沖縄大学教授・宮本太郎北大教授の基調講演に続き、全国各地から集まった保育士さん・福祉施設職員さんから各地の社会保障制度施策の特徴や子ども家庭支援の取り組みについての話を聞く。
福祉・社会保障に携わっておられる方々、とりわけ現場で働く人たちの声で共通しているのが「予算が少ない」「行政の対応の遅れ」であるように思う。ダムは供給過剰になっているが介護・医療は完全に供給不足になっているのが日本の現状だ。需要と供給をマッチングさせるためには地方分権への取り組みを加速することが求められると思う。
- おきなわ自治研
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2006.10.26 Thursday
自治労主催の第31回地方自治研究全国集会参加のため沖縄を訪れる。沖縄には2004年12月に那覇マラソン出場のために訪れて以来約2年ぶりの訪問である。さすが亜熱帯気候の沖縄だ。このところ忘れていた夏の日差しが肌に突き刺さる。
朝、バスで全体集会会場である宜野湾市の沖縄コンベンションセンターに移動する。開会式・表彰式のあと山口二郎北大教授の講演を聞く。山口先生の講演を聞くのは2回目だが、この人の主張には引かれるものがある。ここでは詳しくは書けないが、今日も厳しい論調で政府与党の諸政策に問題提起をしていた。「安部首相はまさにタカです。しかしソフトなイメージでその爪を隠している」と断じる一方で、「但し安部さんは“能ある鷹”ではありませんが」とユーモアも忘れない。
全体集会の合い間をぬって、タクシーに乗り普天間飛行場と嘉手納基地を視察する。普天間飛行場はまさに「町の真ん中」にあり学校や住宅街の真上を軍用へリが飛ぶ。移転が決まっているものの代替地が確定していないため、住民の方は相変わらず危険との隣り合わせの生活を余儀なくされている。
嘉手納基地は想像以上に広大な基地だ。タクシーの運転手さんによれば「毎日が航空ショー」だという。米軍基地などないほうがいいに決まっているが、かと言って沖縄が米軍基地に依存しているのも事実なんですとも話しておられた。沖縄の基地問題の構造は原発を抱える自治体に似たところもあるが、実際はより複雑であり、政府与党がやっているような単純な振興策(アメ)を用いればいいというものではないと思う。
夜、福井県から参加されている皆さんと意見交換会。坂井市からも熱心な職員さんが3名参加されていた。ホテルに戻ったあと一人で国際通り近くの小さな食堂に入り「沖縄そば」を食べる。ちょうどテレビではプロ野球の日本シリーズが行われていた。北海道と名古屋のチームの対決ということで沖縄の人にはあまり感心がなさそうだ。
そう言えば、夕方に乗ったタクシーの運転手さんに沖縄の人はどこのファンが多いのか聞いたところ、即座に「やっぱり巨人ですねえ」という答が返ってきた。
- 沖縄へ
- 癒着構造
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2006.10.24 Tuesdayクリーンが売り物だったはずの佐藤栄佐久前福島県知事が県発注の公共工事を巡る汚職事件で東京地検特捜部に逮捕された。公共工事の見返りに賄賂を贈るという実に単純明快な「悪代官と御用商人的」な汚職構造だが、その手口は弟が経営する会社を「迂回」するという実に悪質・巧妙だ。
佐藤前知事の場合、悪魔の美酒を飲まなくても楽に選挙を戦えたはずだ。しかし5期18年もの長い間トップに君臨していたことが官製談合や収賄という結果につながったのであろう。結局バカを見たのはまたもや有権者と納税者である。
この事件は佐藤前知事の「個人的な資質の問題」では済まされない。談合がはびこる余地がないように入札制度を改革することが急務だと思う。