総合型地域スポーツクラブの先進事例調査のため茨城県鹿嶋市へ。ここは言わずと知れたサッカーJ1の鹿島アントラーズの本拠地がある市である。
今日視察させていただいた「かしまスポーツクラブ」は、茨城県初の総合型地域スポーツクラブとして平成13年5月に設立された。現在会員数は966名(大人267名、小人236名、シニア463名・5月23日現在)で、市内の高松緑地運動公園体育館を拠点として、指導者からアドバイスを受けながらスポーツを行うエリアサービス事業や同好会的なサークル活動、各種スポーツ教室などを行っている。
平成15年にはNPO法人格を取得し、市から高松緑地運動施設(体育館・プール・公園)の指定管理を受けたほか、高齢者水泳教室や介護予防運動教室、放課後児童クラブなどの受託事業を行っている。これによって、安定した収入を得ることができ、安い会費の実現や指導者の確保やクラブスタッフの継続的雇用が可能になったとのことだった。
しかしながらクラブの創立に当たっては、マニュアルが全くなかった、関係団体の理解が得られなかった、会費を徴収してスポーツを行うという概念がなかったなどの問題が生じただけでなく、市民への啓発活動も人海戦術に頼らざるを得なかったようだ。
それでも地道に説明を重ね、手探りで自主的運営に向けた組織を立ち上げ設立に至ったとのこと。クラブ創立までの厳しい道のりを語る理事長の小野さんの口調には万感の思いが込められていた。
クラブの今後の課題として、会員数の拡大とサービスの充実を上げたほか、活動施設の不足や老朽化も今後深刻な問題となってくるとの認識を示されていた。
いずれにしても、かしまスポーツクラブは、鹿嶋市にとってスポーツ活動の推進だけにとどまらず、青少年の健全育成や世代間交流、医療費の削減、高齢者の生きがいづくりなど、スポーツを通じた地域コミュティの拠点として大きな役割を果たしていると言える。
少子高齢化が急速に進む中にあって、坂井市におけるスポーツ文化を通した地域づくりや健康づくり、そして教育の視点に立った関係機関などとの連携を考えていく上で大変参考になった。